自分流悪路走破考察


条件付き徘徊

[2003-09-04]

 最近、割と盛んに使うようになった言葉で「条件付き徘徊(じょうけんつきはいかい)」なる言葉が あります。私の練習するときの走らせ方の一種なのですが、それを思いつくまでの経緯を少し説明 したいと思います。

 私の場合、クロカンを始めた時期と結婚した時期がほぼ重なります。最初の頃はランクル60に 乗っていたということもあり、かみさんや子供も連れてクロカンに行ってましたが、最近はかみさん も別にしたいことを勝手にする様になったので、子供は自然と私がクロカンに連れて行くようになり ました。子供が小さかった頃はたまに自分だけでクロカンに出かけることも多かったのですが、自分 独りだとムチャして、車をベコベコにして帰ることが多かったので、最近は「子供がリミッター になる」とかみさんにバレてしまった様で、なかなか自分独りでクロカンに出かけることは許して もらってない。確かにまだ子供を車に乗せたままで転倒させたことは無い処をみると、ある程度は リミッターとして機能しているものと思われる。

 クロカンを始めた当初は、「なにがなんでも他人が走った場所は走破してみせる」という考えで 走っていた。次はトライアルに出始めたので「エゲツナイ手を使っても表彰台の上に登ってやる」と いう考えも加わった。自分も含めて、四駆に乗っている人の資質で多く見られるのが「負けず嫌い」 ってのがあると思う。その後はクロカンバトルやアイアンバール的なクロカンも覚えたが、相変わらず 他人に負けるのが嫌だったので、走らせる楽しみ方も上手く他人を煽ったり、煽られたりというのが 多かったと思う。走る価値観も相変わらず「何が何でも他人より一枚上手である」ということに執着 していた。

 ところがこのクロカンスタイルには決定的な致命傷がある。先ほど子供がリミッターになると 書いたが、自分の場合、子供をクロカンに連れていく必要が(他人より)多いので、どうしても 時間的制約・肉体的制約・金銭的制約が他人より多く付きまとってくる。例えば、まずトライアルは 子供を乗せたまま出走なんてのは出来ない。また例えしたとしても、かみさんに任せてという訳に いかなくなったので、子供を他人に任せたまま放っておいて出走する・・なんてのは到底不可能だ。 たまにしている親も見かけるが、トライアルから引退した頃はまだ上の子も小さかったし、今は 下の子もまだ3歳なので、他人に任せたままでトライアル等の競技に出るというのも無責任な話で 私は不可能である。というわけで、自分の選択肢のなかからトライアルは消えてしまっている。

 普段、クロカンに出かけるときも子供を連れていたら、出来ることが大幅に制約を受ける。 コンボイを組んで、林道の難所を何台かでアタックをかける場合などは特に疲れる。車に子供を 乗せたままだと、前方で難所にアタックしている車が何をしているかさっぱり見えないので、 車から降りて見に行くわけだが、当然子供も車から降ろして連れて行かないといけない。四枚 ドアがある車なら多少は楽なのかもしれないが、「四枚ドアがある重い車が嫌で」70幌に乗り 替えた人間としてはそんなことでいちいち弱音は吐けない、が、やっぱり事あるごとに子供を車に 乗り降りさせて、シートベルトも・・・などとするのは疲れる作業だ。

 また、広場で車から子供を降ろして勝手に遊ばせておいて、そこら辺の難所をアタックするという のも、(今では悪い意味で少し慣れたが)気が散って走りに集中が出来ない場合も多い。子供が 車に乗りたいという場合もあるし、走るポイントを移動するときなどは当然子供を車に乗せての 移動となるので、子供を車に乗せたままクロカンをするというのも(これまた他人に比べると) 非常に多いが、やっぱり子供というのはなにかと手間がかかる。知らぬ間に寝てしまうというのも 多い。

 概ね、子供が寝てしまうと「起きるまでクロカンはお預け」となってしまったりすることも多いの で、やはり単独で来ている人と比べると思った様には走れない。そういう訳で従来のクロカンスタイル には決定的な致命傷があると書いたわけである。自分の周りにも私と同じような境遇の人も多いので 、その方々の「対処法」を見ていると、次のようなパターンがあると思う。

@車をファミリー的な物に替えて、それにあわせて走りも全体的に大人しく

A車はそのまま維持するが、走りが全体的に大人しくなるか、走りにいく機会そのものが激減

B車に大改造を加えるとか、一般に良く走るといわれるクロカン車に乗り換えて、車の性能に物を 言わせて走るようになる

Cキャンプとか、別の趣味に走るようになる

D↑の様な対処をしても、結局昔のようには走れないので、クロカンから飽きて引退

・・・なんてのが多く見受けられた。私の場合もなんらかの対処をする必要に迫られたのだが、 とりあえずは他人より一層金には余裕は無いので、Aの「車はそのまま維持」という処で落ち着か ざるを得ない。だが、ただ単純に走りを大人しくしただけでは自分としては面白くない。昔やってい たことをただ単純にスケールダウンしただけでは長続きもおぼつかないだろう。そこで自分流に 「どうやったら今の条件のままでクロカンを楽しく続けれるだろうか?」と考えた末に出てきた答え が「条件付き徘徊」だった訳である。  私と一緒に走ったことがある人は「何をグルグルと同じ処を飽きもせずに走り廻っているんだ?」 などと思われたことがあるかもしれない。今まで自分がしている内容をいちいち説明するのは、 同じクラブ員にもしてこなかったというのもあるが、他所から見ていても派手さはないし、代わり映え もしないので意味が無い様に思われていただろうと(今になって)思う。グルグルと同じ場所を 廻る走りは何も自分だけの話じゃないし、他人も当然していることなのだが、おそらく自分のは 毎回走るラインを変えたり、変えなかったり(全く前回の走りと同じことを繰り返したり)、わざと 走破出来るかどうかのギリギリを狙ったり、タイヤの空転を調整してみたり、タイヤのズレ量を 調整してみたり、わざとズラしてみたり、穴にタイヤをわざと落としてタイヤを浮かせるのも浮かせる 高さを調整してみたりと、他人と比べるときわめて徹底して細かい処にまで拘って走るようにしている と思う。

 子供が車の中で寝てしまった場合などでは、それまでは「はい!今日のクロカンは打ち止め!」と なっていた訳だが、今では割とお構いなしでクロカンを続けることも多い。首がすわってない幼児 ではなくなったのでまだ言い訳になるかもしれないが、寝てしまったら走る場所と走らせ方を変えて、 「車を傾けない」「車を揺らさない」という走り方に変える。オープンでダメなら前後デフロックも 積極的に使ってみる。「デフロックを使えば誰でも出来るやろ!?」っていう人もおられるかもしれ ないが、それならそれでどれだけ自分で車をより揺らさずに動かせれるかとか傾けずに走れるかを 実践して物を言ってもらいたい。まぁ、子供が寝た状態ではいくら傾かないとか揺れないといっても リスクの高い地形にアタックするのは考え物ですけどね。

 よく、トライアル系の人と走っていると、ポールを地面に刺して、走れるラインを制限して練習 するのを見かける。自分のと似ているようで決定的に違うのが「より不利な状況に自分の車をもって いく」ようなことは見かけないことである。「走れてナンボ」のトライアルでわざわざ走りにくい 様にもっていくというのも奇妙なハナシではあるが、走りのバリエーションの広さでいうと私から 見ると狭く感じる。よく「地形を見て、走れるラインが頭に何本か浮かぶ」というハナシは聞く ことがある。難所を前に誰もがある程度は頭の中で「どのラインが通過出来るラインか?」などと 考えるのは当たり前のことだとは思うが、「どのラインが最も通過しにくいラインか?」とか 「どのラインがボディをぶつけるギリギリのラインか?」とか「どのラインが最もスピードを落とし て這えれるラインか?」などと具体的に考えて走ったことがある人は一体どのくらいいるんだろう? 余談だが、だからといってトライアルで勝ちたい人はあまり自分の真似はしない方が良いかもしれ ない。私もトライアルに出ていた最後の頃に深刻なスランプに陥ったことがあるが、その頃から自分 の中で走らせ方の考えが変わってきていて「走破するだけに特化した走らせ方」に加えて「より 面白いラインはどれか?」とか「より走破しにくいラインはどれか?」などという走らせ方の考えが 増えていってしまってどれか一つに集中しずらくなっていたのか?と今では思う。私より才能の 豊かな方はいくらでもおられると思うのでそういうのも要らぬお世話かもしれませんが。

 「条件付き徘徊」っていうのは、物理的・精神的に敢えて課題や条件を加えて走る方法なのだが、 自分がやっている事だけでも非常に多岐に亘っていると思う。「自分流・・」のなかでも随分と それにあうものを書いてきたのだが(最初の頃に書いたV字溝の走り方や雨の日のクロカンでの 極力タイヤをズラさない走らせ方や一緒に走っている人をダマす走りなんてものそのうちの一つ) 今まで書いたことが無いことでいうと、例えば、目印になるものを左後ろのタイヤで踏む・股越す、 車の一部を目印になる物の5cmまで寄せる、目印になるものを決して踏まずに通過する、落ちている 木があればそれを踏んだまま通過なんてのは数年前に4フェスで私が企画した車両感覚ゲームなどで 実際にやったこともある。他では数回同じラインを寸分違わずトレースしてみるとか、走っている 時、周りで見ている人などにあらかじめ課題を言っておいて走るなどという手もある。あまりに多く あり、際限もないのでこの辺で辞めておくが、色んな道具を駆使しての引破でも考え方を少し捻ると 面白くする手はこれまた際限なく出てくる。時間を短縮させるというだけでなく、体力をより使わな いとか無駄な作業は減らすとか、石橋を叩いて渡るというのでもいいし、後からくる人を騙すために 要らない処でウインチングしたりチルで横方向をしっかり保持しておいてとんでもない場所に轍を 残してみるというのも手であろうと思う。

 私が書いたことがあったり、実際にやっているのを見たことがあること以外にもおそらく工夫次第 ではまだまだ色々あると思う。「どうもそういう走りは性に合わない」という方もおられるかもしれ ないが、興味がある人はぜひ、少し頭を使って面白く、腕が上達するこのような徘徊をされてみると いいのではと思う。また何か良い「条件」や「課題」があれば私にも教えてやって下さいませ。



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