自分流悪路走破考察


腕を磨こう

[2002-11-18]

 自分がクロカンを始めた頃は既に「前後デフロック&コイルリジット車」というのが幅を利かせ 始めていた頃だった。当時はまだ車に大金をかけて改造を施していても、超大径タイヤ+ガチガチの ハイリフトサスペンションなんていう組み合わせが多くて費用対効果としては涙が出るほどオソマツ な改造が多かった。今では出来の良いサスペンションシステムや軽量化や効果的なボディプロテクシ ョンなどが浸透してきたので、結構巷には大金をかけて高い走破性をもたせた車が氾濫してきたが、 自分としては自分が金をかけることが出来ないというのもあるが、全くそんな金の使い道には興味が 無い。

 クロカンを始めた当初はトライアル等の自走オンリーから入ったのだが、トラ専などの改造車等を 観察してみても狭いコースに対応する為にクルマはジムニー・ジープ等の自分にとっては小さすぎて 使えない車が多かったというのもあるが、改造内容も小回りを重視する改造が多く、参考にはなるが 使えない改造は多かった。例えばブレーキラインに加工してフロントブレーキを片方だけロックさせ るハンドブレーキとかだ。確かに空転するタイヤをロックさせて着地している方のタイヤに駆動力を 伝える手段は走破性を上げるには有効的な手段となるが、自分達の車に付けるとなると車検でまず 通らなくなるし、フロントにデフロックがある車だとロックさせてしまえばほぼ同じ効果が狙える。 使えない改造も多いが、なりふり構わない改造の中や明らかに失敗と思われる構造の車の中には自分 にとって参考となる改造もまた多かった。

 例えば、サスペンションは例えコイルを採用していてもビヨンビヨンと腰の無いバネをした車は 少なかった。また例えいたとしてもちょっとの傾きでコロコロとコケたり、リーフ車ではジャダーで リーフが折れ曲がったりショックがモゲたりと参考になることが多かった。この頃学んだのが「サス ペンションはちょっと固めの方が走れる場所が多い」ってことだった。前にも「車が傾いて走れない 処よりはタイヤが大きくなくて走れない場所は少ない」と書いたことがあるが、その考え方はこの頃 から持っていた。同様にサスペンションのストロークも大きい方が一般的に走破性が高いと思われて いるらしいが、トラ専で走破性が高い車は意外なほどサスのストロークは少なかったりする。走破性 の高さには車の軽さとかトラクションに優れたサスペンションなどという性能の方が重要であるとい うことは言うまでもない。(当時はそれほど重要だと思わなかったが)

 また必要以上に大きい(重い)タイヤを履いた車も、改造車は殆どがエンジンのパワーアップを しているというのもあるのだろうが、大きいタイヤを履いて、一見どこでも走れそうな(チョロQ みたいな風貌の)車程、結果的に走れない場所が多いとかCVJやデフやキングピンをボキボキと 折ったりとダメなことが多かった。

 クロカンを始めた頃にそういう参考になることが身の周りで多かったというのもあるし、自分の 周りで凄腕だと思う人が「改造具合は極軽微な」車に乗っていたことが多かったので、僕も自然とそう いう車や考え方になっていったのだと思う。トライアルの方は、経済的、時間的な理由や、幼かった 子供を連れていなければ家を出れなかったのでトライアルに参戦は出来なくなったというのもあった が、トライアルで上級と呼ばれる競技は、積車を使って競技車両を積んでくるので、例え車が競技中 に大破しても積車に乗せてしまえば帰れるという考え方がどうしても自分としては納得いかなかった し、競技に金が掛かり過ぎるので興味が薄れた。上級といわれる競技も普段からそのクルマで走り込 んでいないからか、まだ手足のように操れない「本当に上級?」と目を疑う様な人もいる。かえって 普段から乗っている車で参戦してくるクラスの方が、おそるべき車両感覚が見られたりして楽しい。

 自分が乗っている車はランクル60系2台を経て、70幌になった。当時からコイル車が優れて いるということは知っていたが、1.5t程度と軽量でそこそこの大きさがあって、コイル車で 前後デフロックがある幌車なんてのが安く手に入る状況ではなかったので、サファリY60系を 差し置いてPZJ70幌となった。結局は出来の良いコイルサスよりは軽い車重と前後デフロックの 方が手っ取り早く走破性を上げれると思ったからなのだが・・。今となったらその判断が正しかった かどうかのコメントは避けたい。まあ、事故車でシャーシが歪んだ車を安く買ってきて今に至るが、 シャーシの程度をボディが上まってしまったのは悲しい。70幌を買った時、すでに1HZ搭載車も 出ていたが、価格も高いというのもあったが50〜80kgも重くなるというのでパスした。

 ちなみに、軽くて素晴らしいサスシステムや構造を持っているらしい某英酷車は、あまりにも破壊 度が高いと当時から噂だったので最初から候補にも上がってなかった。もしヘビークロカンから引退 したら乗る日が来るかもしれない。

 話は戻るが、同じクラブや一緒によく遊んでいる人ではエゲツナイほどの改造を施している人は 少ない。自分も含めて下手したら一日中そこらへんを走り廻っている人などもいるが、それでも バキバキと破壊している人が少ないというのは、やはり無理な改造をしていないということの証明 だと思う。クロカンを始めて最初の頃は自分の腕が無いのにもかかわらず「前後デフロックがあれば もっと走れるのに〜!」と思っていたが、その程度で良かったと思っている。もし、今みたいに 大改造した車が氾濫した時代にクロカンを始めていたとしたら、経済力が無いのでまず始める前に 断念しているはずだ。任意性のあるデフロックのある車に乗り換えたが、デフロックを使いたくなけ ればスイッチを入れなければよいだけなのだが、いざ大改造を施してしまうと元に戻すのはもう無理 だろう。

普段からよく「クロカンを金持ちの趣味にしてたまるか!」と言っているが、クロカン四駆での 遊びは車という高価な工業品を使う遊びなので、使おうとすると際限なく金が掛かる。金が掛かるだ けでなく、いざ改造するとかメンテするにしても自分でするとしたらとてつもない労力を伴う。 これからも金持ち・暇人・独身者にはクロカンで負けたくない。口は悪いが、これくらいの気概が 無いとクロカンなどという経済的、身体的に負担の大きい趣味を妻子持ちの金無しの暇無しが続ける のは無理だと思う。車には金と暇がかけれないが、腕を磨く事は工夫次第でそれほど金も暇もかから ない。

 車を操る腕を磨くことだけがクロカン遊びでの真価ではないと理解している。車の改造を好む 方や工業製品として優秀な構造を持つ車を維持することや、ただ好きな車に乗るだけで楽しいという 方の楽しみ方も理解出来るつもりだ。僕も足回りを組み替えたりした後でどのくらい走破性や乗り 心地が変わったとかを確かめることや、ただボーっとハンドルを握っているだけで楽しいこともある。 今まで散々走っても音を上げなかった駆動系や足回りに対する信頼感なども感じるときもある。だが、 どうせするならなるべく高い目標も持っていたい。僕が「エゲツナイ改造をした車に乗る」ことを 忌み嫌うのは、車が腕を磨くには妨げになることが多いと思うからだ。いざ走り込もうにも車の方が 先に音を上げることが多いとか、エゲツナイ改造をしたことによるウィークポイントを強化するのに 大金や貴重な時間が掛かってしまうとか、トレッド拡大、大径タイヤ装着、などと車のサイズを大型 化していった挙句に今まで入れていた処に物理的に入れなくなったなんていう笑えないハナシもある。 優秀な構造だが、駆動系や足回りの強度が根本的に不足している車なんてのもある。

 たまに僕の周りでも天才的なヒラメキを持ったオフローダーがいる。それほど走り込みもしていな いハズなのにどうしたらそんな奇抜なライン取りがヒラメクのか聞いてみたいものだが、残念ながら 自分にはそういう才能は無い。場数を踏んでいってはじめて腕が磨かれる一般的なタイプの凡人であ る。そういう意味からも僕が乗る車はどこでも一応は攻めれて、かつ耐久性の高く維持費が安い車で ないといけない。

 どうしても走破出来ない地形や思い通りに走れない地形が目の前に現れたら、クルマの性能のせい にしないで、「腕でなんとかしてやろう」と思ってみるのはどうだろうか?それこそが腕を磨く近道 になると信じる。僕はこれからも今までと同じく腕を磨き続けるだろう。クロカン車から降りる日は 近いかもしれないが。



自分流悪路走破考察 の索引に戻る

Page28に戻る

Page30を開く
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送