自分流悪路走破考察


ロングライフ

[2003-06-06]

 最近は走りに行く機会は減ったが、それでも今年はボチボチと走りに行く機会があって嬉しい。 以前からよく思っていたのだが、クロカンって非常に出入りの多い趣味ですね。前にも書いたが、 同じ時期にクロカンを始めた仲間達は僕を除いて皆、クロカン車から降りた。フィールドに行っても 知らない人が毎回必ず数人はいる。昔一緒に走ったことがある人でも、最近は音沙汰が無いとか いうことも多い。

 理由もいくらか考えられるが、まず経済的に厳しくて辞める方が多いと思われる。家を買ったは いいが、10年ほどして返済額が増えたり、減税措置が受けれなくなってクロカン引退なんてのも チラホラと聞く話である。またリストラなどというのもバブルが弾けて以降、深刻な問題になって いる。仕事が無くならずに運良く続けられている人も給料がカットされたとか、就労条件が年々 深刻になっていくというのも最近はほぼ当たり前だ。ちょっと前までは、いい歳して定職にも就かず にふらふらとアルバイト感覚で仕事をしていて、暇を持て余していた「クロカン猿」なんてのは僕は 一番毛嫌いしていたものだが、最近は定職に就くことがそもそも難しくなってきている。

 仕事が厳しくなってきているというのも殆どの人が痛感されていることだと思うが、次に出てくる のはやはり時間的な制約であろうと思われる。休みも少なく、普段も残業・残業で追い掛け回されて いたら走りになんて行ける訳ありません。僕もクロカンを始めてすぐの頃に長男が産まれた のでいきなり走りに行く機会がゴッソリ減ったこともあったが、よっぽどクロカンが好きでないと、 より使い勝手の良いワンボックス車などに乗り換えたりしてたと思うので、その時点でクロカンから 引退していたかもしれない。

 車の乗り換えにも代表されるのはライフスタイルの変化でしょうか。結婚や出産、家族が増えたり、 親を介護する必要がでてきたり。クロカン車というのは一般的な乗用車やワンボックスワゴンなどと 比べるとどうしても快適性とか荷物の運搬能力とか室内の広さとかが犠牲になるものなので、維持 するにはそれなりの割り切りとか必要性とか諦めが肝要でしょう。必要性においては最後に少し 書き足しました。

 前にも書いた事があるが、体を壊したってのもクロカン引退の引き金になりかねない。腰を 壊したりするのは代表的なものだし、歳をとって体が弱ってきたらメンテも含めてハードな遊びは 出来なくなる。あと、最近ではNox法などが引き金となってコスト的に合わなくなってしまって クロカン車を降りる方も多いみたいだ。

 個人的に最も重要な理由になっていると思うのは「クロカンへの情熱が冷めた」ことによると 思う。全くの平坦地を走っても何も面白く思わないのと同じく、クロカンを続けるのもある程度は 障害になることが多い方が逆に面白く感じる事も多いと思われる。少しの障害なら情熱さえ持って おけばなんとでもなるものだ。

 では、「クロカンへの情熱」を保ちつづけるにはどうすれば良いのだろう?僕も去年の今頃は ほとんど引退するつもりでいたので他人事ではない。最近は走れるフィールドも減る一方なので 「面白い場所が近くにあるから走りに行こう!」などというのは不可能だ。もしそこらへんの山 や河原なんかに勝手に入って行ったりしたら今では訴えられかねない。では遠征して、面白いコース や人と遊ぶというのもある意味有効だが、僕もそうだが金無し・暇無し・仕事も大事な人間にとって はそうそう遠征に行けれるものではない。同じ理由で海外のラリーなどに気軽に参加なども不可能 だ。車も改造したら走りに行くのが楽しいときがある。足回りを組みなおした後などは随分と走る のが楽しみだったりする。色々な走りを試したり、ストロークなどをチェックしたりするが、これも 僕の事情だが、改造やメンテは基本的に嫌いである。仕事で設備を触る機会が多いのに休みまで 触るのは嫌だ。

 ではではどうしたら良いのだろう?競技の常連になってそこでの順位や勝ち負けや自分の理想の 走りに拘って走るというのも長続きさせるコツになるとは思うが、僕からしてみれば競技に参加 し続けるというのは正直ツマラナイ。トライアルにもよるが、参加するだけで数千円はするが、 その数千円で走れる時間はたった20分だったりするのでどうにも割に合わないと感じることが ある。イコールコンディションで競えるとか賞品が魅力的であるとか、栄誉が手に入れれるとか 知名度が挙がるなどというメリットも分かるが、僕からしてみたらそれほど重要には思えないこと もあるので、僕は参加料を払う金があるのならその分、自由に走っていたいと思うタイプである。 それと、既存の競技と自分のクロカンのスタイルとが合わないことも多いのがさらに面倒臭いと 思わせる一因だ。例えば、ある競技では窓ガラスを開けてはダメという信じられない規制があった。 ドアの取り外しもダメだとか、長袖、手袋、ヘルメット着用、4点式シートベルトをするなんていう のも確かに競技を公平にしたいというのも分かるんだが、僕としてはわざわざそれに合わせてまで 競技に出ようとはあまり思えない。今のクロカンのスタイルにも飽きがきたら競技中心に戻っても いいとは思うが。競技になったら荷物をゴッソリと降ろして走るというのも、僕の場合はクロカン での常装が200kgを超えているというのも悪いのかもしれないが、荷物を降ろすと普段の感覚 と違いすぎて逆に全くダメになるというのも多い。「普段から荷物を降ろして練習すればイイじゃ ない?」と言われそうだが、レスキュー用品や修理工具や予備品、スペアタイヤまで降ろして クロカンするのは僕にはリスクが多くて無理だ。

 話は戻って、まず走れるフィールドは少ないと前提で考える必要が出てきたと思う。魅力的な 場所が例えあってもしばらく走っていれば大体すぐ飽きるものなので、「走り方のバリエーションを 増やす」「考えながら走る」「制限を加える」「装備の質をわざと落としてみる」「一緒に走る 人を上手く利用する」などということをしてみると楽しく走れることがある。

 具体的にいうと、「走り方のバリエーションを増やす」というのでは、どこもかしこもジワジワと クロウリングで攻めてみるとか、メリハリをきっちりとつけた走り方をする(アクセルをガバッと 開けるときは開け、緩めるときは緩める)とか、キャンバーを攻めるとか、アクセルターンや リバースターンなどの小回り技を覚えるとか、降りを中心に攻めてみるとか、わざとタイヤを浮かす ようなラインで攻めるとか、タイヤが絶対に浮かないラインで攻めるとか、ウインチングなどの 引っ張り技中心の引破とか、リカバリーツールを最大限駆使しての走破など数限りなくある。

 「考えながら走る」というのでは、普通の人は「どのラインで走ったら走破出来るだろう?」とか 「どのラインなら一発で曲がりきれるだろう?」ぐらいしか考えないかもしれないが、それだけでは 不十分だと感じる。例えば下見しただけでどれだけ実際の走行とのイメージのギャップを埋めれるか ?というのも考えて走るうちに入ると思う。あるポイントで実際に車から降りて下見しておいた時点 で仲間に「ここをこう通したら、こうなって、左後ろのタイヤはここを通るが、アクセル開度はこれ くらいで通過出来るだろう」などとできるだけ具体的に説明(というか『宣言』に近いかな?)して おけばどれくらいの『眼力』を持っているのかすぐに分かる。仲間がその場にいないとしたら、自分 だけで納得いくまで何度も攻めてみたらいいではないか。考えながら走れる人は自分にあった練習法 などもその場でいくらでも編み出せれるものだろうが、な〜んにも考えてない人はそれなりの経験値 は溜まるだろうが、飽きるのもまた早いだろうと思う。また普通の人は当然嫌がるが、雨の日に 好んで走るというのも考えるうちに入るだろう。

 「制限を加える」というのもこれまた非常に多くのバリエーションがある。トライアルをしている 人はすぐピンと来るだろうが、普段よく走っているコースなどもテープで規制してやるだけで 簡単に難コースへと変貌を遂げる。ある意味で「考えて走る」というのに繋がるかもしれないが、 それ以外では、装備を一切降ろさないとか、デフロックは使わないとか、スタックしても人の手は 一切借りないとか、使う牽引具はチルホールだけと宣言するとか、一度走破出来た地形も最大限 スピードを殺して再度走破してみるとか、サイドブレーキタッピング禁止とか、人からの助言は 一切耳を貸さないなど、これまた限りなく存在する。

 「装備の質をわざと落としてみる」というのではクロカンタイヤにジープサービスを履いてみる (苦笑)などというグリップもトラクションもそこそこの頑丈なタイヤに替えてみるというのも 練習には非常に役に立つ。わざわざタイヤを替えるのが面倒臭いという方はタイヤのエアを全く 落とさずにクロカンするというのも手だ。以前も書いたがトラクションやグリップが良い外径も デカいタイヤをチョイスするのは非常に簡単だが、得られる物もある代わりに失う物も多い。 得られる物としては主に走破性だが、失う物としては簡単に走破出来てしまうことにより腕が いつまでたっても上達しないことだったり、駆動系などの故障による機会損失やコストの負担だろう。 僕は今の車になってCVJやデフをイワセて戦線離脱などはないが、折角クロカンに来ているのに 来て早々CVJやデフをイワセて戦線離脱などはムゴい。その後に部品代や修理代の出費や労力の 負担なども待っているのでダブルパンチですね。まあ、何度も痛い目に遭っていればそれにあわせた ジェントルなアクセルワークとかが身に付くかもしれないのは確かに利点だが、そういうのは マゾっ気のある方かお金が有り余っていてそれほど苦にならない人にお任せします。

 「一緒に走る人を上手く利用する」というのはちょっと言葉が悪いかもしれないが、例えば 楽しくお互いに化かしあいをするとか、腕を競い合うとか、一緒にいる人を煽って差し上げるとか です。煽る代わりに自分でも色々と走る前に宣言しておけば、走った後で「どや!参ったか!」と も言えるかもしれませんし、「・・・もうちょっと腕を磨こう・・・」と思うキッカケになるかも しれません。またあまり人にウンチクを現場でベラベラとしゃべっているのは好かないですが、 あれやこれやと人の走りをその場で批評していたり、解説していたりすると人に教えているつもり が自分にとってもプラスになっていることもありますよね。

 ちょっとここで新たな技を紹介させて頂きます。他人が上手く走れなかったりした後でたまに 「いや〜、○○が悪くてダメだったよ」などという言い訳を聞くことがあります。そーいう場合は すかさず「言い訳は聞きたくないなぁ」とはっきり伝えてあげましょう。喧嘩にならない程度に グサリと言ってあげるのがコツです。言われた人も上達しようと努力してくるでしょうから、自分も それに負けないように練習する良い機会になると思います。

 「無理をしない」というのも長続きさせるコツだと思う。ある程度の無理はした方が成長にも 繋がるのでやるべきだが、自分だけが無理をするならまだしも、家族や住んでいる地域にしわ寄せ がくるようでは長続きはおぼつかない。なるべくメンテや修理は自分でしてしまえば懐には優しい のだろうが、実際仕事で車関係でもない人が大多数なのでなんでもかんでも自分でしてしまおう というのは不可能だ。ある程度は腕のあるショップや人にお任せというのは合理的だが、頼り すぎるのはこれまたマズい。単独行では頼れるのは自分一人なので、ある程度は普段から車に触る 機会がないといつまでたっても知識は得られない。僕の周りでもショップに行きつけなんて方も 大勢おられるが、クロカン歴が長い割に「えっ、そんなことも知らないの!」とか「そんな道具 も載せてないの?」と驚かされることもあるので、任せるのもほどほどにしておいた方が結局は 長続きするコツになるんではなかろうか?

 これまた昔の話になっちゃいますが、クロカンを始めた当初、よく某ショップのイベント走行会 に参加させてもらいましたが、ショップ自体が煽って激しい走りをさせるのをよく見た。わーわー と煽る方も煽る方だが、それに応える客も客だ。イベントは盛り上がってよいのだろうが、駆動系 やボディを痛める客も非常に多かった。ショップとしても美味しい話で、金を払って来た客が自分の イベントで車を壊してくれて、後日自分のショップで修理してるんだから笑いも止まらなかっただろう。 さらに「これを付けたら壊れなくなりますよ?」とか「この車なら壊れないよ」などという営業 トークなんかも出来たろう。幸いな事に僕はそういう目には遭わなかったが、自分では被害に あったとも思ってない客で未だにクロカンを続けている人って何人いるのだろう??

 僕がクロカンでの単独行に拘るのも長続きをするコツにつながっていると思う。いつも走りに 行くメンバーが一緒というのまあ良いことかもしれないが、他人の都合に合わせないと行動が 出来ないというのは実際不便だ。単独で他所の走行会などに参加してみるとそれまで考えたことが ないような理論や走りがみられることがあるので収穫が多いことがある。たまには思い切って 「単騎」で動いてみるのをオススメします。

 もうひとつ普段から思うのは、クロカン車を遊びだけの道具にしてしまわないことだ。 恵まれている人は全く競技車両みたいな車も維持出来るかもしれないが、大多数の人はそういう 訳にはいかないだろう。うちの屑鉄も通勤車両や積載能力を活かした使い方の他にも救助支援車と しての使い道がある。自分や家族だけの便利さだけで維持するのも可能かもしれないが、社会の 公器としての使い道があるに越した事はないし、クロカン車の必要性にもつながっていると信じて いる。



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