自分流悪路走破考察


ブレーキング

[2003-09-26]

 今回の「ブレーキング」でこの自己流・・じゃなかった自分流悪路走破考察も切りのよい50番目 を迎えました。始めた当初はこれほどまで多くの駄文をアップさせるとは思いませんでしたが、 「いつ終わりになるだろう?」などと思いながらも不思議とここまで続けることが出来ました。 これだけ書くことがあるということは、すなわち私が「四駆乗りとしてはいかに特殊なタイプだった か」というのを現していると思いますが、これからも気長にアップしつづけていきたいと思って いますので、これを懲りずに読んで頂いた方、これからもよろしくお願いします。

 さて題にもなりました「ブレーキング」ですが、これほど重要なことなのに、こと「クロカン」の 世界でなおざりにされてきたものはないと思っています。クロカンでアクセルワークというのは 良く聞く話ですが「ブレーキングが重要」というのを私以外で言っているのを聞いたことがありま せん。

 クロカンで使うブレーキングには大きく分けて3つあります。1つは「車速を落とす為」の使い方、 2つ目は「荷重移動の為」に使う方法、もう一つは「トルクフローを抑える為」のブレーキングです。

 まずは「車速を落とす為」の使い方ですが当たり前な使い方を書いても意味が無いので、特殊な 使い方を・・。ヒルダウン中は「クラッチを繋いだまま、エンブレを効かせながらゆっくりと降りる」 というのを特に初心者向けでよく聞きます、が、実際にクロカンを続けているとそれでは脚が速過ぎ てクラッチで駆動を切って降りなければいけない場合もあります。「急な坂だからビビッて」クラッチ を切るのは論外ですが、わざと狙ってクラッチを切って、ブレーキ操作だけで斜面を降りる場合など もあります。最近はよく斜面に斜めに進入して、タイヤのグリップ力を最大限に使ってターンしていく ことをよく練習してますが、これなんかは試しにエンブレだけで斜面を降りると、たとえ死ぬほど ブレーキを踏みつけていても車速が早過ぎて狙ったラインが狙えない場合があります。そーいうとき はセオリー無視でクラッチを完全に切って、車速の調節をブレーキだけで行います。車重の軽い車 だとこういう時、一切苦労は要らないかもしれませんが、こと「ランクル」と名の付くトラックで 軽量というのは存在しませんので、ランクル乗りなどの重量車乗りは最大限度、車速を落とす努力 をする必要が出てくる。具体的にいうと、極めて遅い速度(動いているかどうか判らないほど)まで ブレーキだけで操作するのだが、クロカンで使う地形でツルツルの地形などは存在しません。必ず ある程度の凸凹があるのだが、少しでも荒い操作をすると「ズルッ」とタイヤは滑ってしまう。 最初からタイヤをロックしたままでズルズルと滑らせるというのもある程度有効だが、これだと 最大限速度を落とすということにならないし、技というのはあまりにも情けないので最大限の制動力 を得るには人間ABSを使う必要がある。以前、「セナ足」というのを別の処で書いたことがある が、こういう場合、ポンポンとリズミカルにブレーキングを繰り返すのもある程度は使える技だ。 そのクルマに慣れていない場合などもこの技は「ある程度の」効率の良さが狙えるので使えると思う が、やはり玄人を目指すなら、その地形に合ったブレーキの強弱を加えて、最大限度のグリップ力を 発揮出来るようにしたいものだ。これも運転席に座ったままで漫然と足裏から伝わってくる感覚だけ でロックさせないように操作するのは私は不可能だと思う。私の場合だと、最大限グリップを発揮 させたい場合では運転席から身を乗り出して、前後のタイヤの地形やタイヤが実際にグリップして いる状況などを逐一確認しながら操作するようにしている。なお、これはドアを付けたままでクロ カンしている方には不可能な技なので念のため。ドアの付いたままでクロカンをされる方は別の 方法を考えないといけないだろう。具体的にいうと、走る前からしっかり下見しておいて、その 地形などをしっかり頭に叩き込んでおくなどの努力が必要だろうと思う。

 2つ目の「荷重移動の為のブレーキング」ですが、これなんかは高速系のクルマ競技などをされて いる方の得意技なのであえてここで書く必要は無いだろう。小回り系クロカンをするときに、ブレー キングで強引に前輪に荷重を移動させておいて、荷重の抜けたリアを振り回す技なんかもあるが、 私なんかよりよっぽど詳しい方はいくらでもいると思うのでここでは省く。私などが好みな超低速 クロカンで使う「荷重移動」としたら、モーグルの途中などで、わざとブレーキを踏んで、荷重が 移動するのを利用してそれをクルマの移動する力に換える技などがある。ヒルクの最中に、なかなか 前輪に荷重が掛からないときなどにブレーキで一気にリアに荷重移動を起こして急発進させ、そのまま 荷重を前輪に移して登り切る技もある。また、丸太超えなどで、障害物を乗り越える直前にガツッと 強くブレーキを踏んでやるとつんのめったような体勢になるが、それが戻る力を利用して、一気に 障害物を飛び越える技なんかもある。リーフスプリングのクルマが得意なようだが、私のは重量車 クラスになるし、それほど「飛び越えてまで走破したい」と思ってないので、それほど得意技では ない。トライアラーは皆得意だと思うので、彼等に頼むと快く実演してもらえるだろう。

 さて3つ目の「トルクフローを抑える為の技」であるが、基本的に任意性の無いデフロック装着車 とか、効き目の良すぎるLSD装着車は練習しにくいだろう。前後オープンデフ車がもっともこの技 は練習し易い。私のも任意性のある前後デフロックなのでこの習得の為の練習が容易なのはありがた い。さてこの「トルクフローを抑える」ブレーキングは技自体もいろいろと多い。最も有名なのは 「フットブレーキタッピング」だろう。ヒルクの途中などで、タイヤが浮く為におこるトルクフロー をガツガツとブレーキを踏むことで抑える技である。が、これはクルマの破壊に繋がるので要注意な 技である。私も前に乗っていたのが効かないLSDを付けたランクル60だったのだが、走破性が 異常に低かったので、登れないヒルクではガツガツとブレーキペダルを踏みつけていた。ある日、 あっけなく「ボキッ!」とCVジョイントが割れた(涙)。そのCVジョイントはいまだに玄関脇 に錆まみれで転がっているが、「ムチャな操作して割れた」のを釘を刺す役割をしてくれている。 まあランクル60は駆動系が頑丈とは言われているが、確かに前後デフはランクルで最大クラスの 9.5吋だが、ドライブシャフトの太さは格下の70系と同じ太さで、CVジョイントの大きさは P/HZJ7*より小さい(強化リブがない)ので無理な操作をしなくても「ボキッ!」とCVが 飛ぶことがあるので要注意であった。話は戻して「フットブレーキタッピング」はあまり使わない方 が無難だろうと思う。もしするとしても極力フンワリと柔らかくする必要があるが、それではブンブン と廻しているタイヤを止める力が発揮出来るかは疑問である。「絞め殺す」という意味の「チョーキ ング」は実に使える技である。ヒルクやモーグルに入る直前にブレーキをグッと踏んだままでジンワリ と駆動を掛けていって山側のタイヤのトルクフローを抑える技は非常に使える技である。これは 特に「這う」クロカンで有効な技だと思う。ランクルみたいなサイドブレーキがリアのみに作用する クルマはサイドブレーキでタッピングしたりチョーキングすることも出来るが、かなりチカラを入れ てガツガツとしないと効果は少ない。サイドブレーキで車速を落とすのも可能だが、制動力も元々 強くないので補助的に使うというのがやはり基本となるだろう。

 「ブレーキチョーキング」にはさらに色々と技の種類がある。ハンドスロットルを予め引っ張って おいて右足でブレーキを踏む方法、右足はアクセル操作をしながら左足で行う「左足ブレーキ」、 右足のつま先でブレーキを踏みながらアクセルペダルを踵で操作する「トゥ&ヒール(つま先が 先なのでヒール&トゥの順序を反対にしている)」などがある。ここでは今まであまりクロカンで 触れられてこなかった「左足ブレーキ」と「トゥ&ヒール」を説明しておきたいと思う。

 まず「左足ブレーキ」だが、最初に乗っていたランクル60はAT車だったので、その頃から 左足ブレーキは使っていた。よくAT限定の初心者は左足でブレーキを踏むそうだが、たまに街中で ブレーキランプが点灯しっぱなしという怖いクルマに遭遇することがある。個人的な感想でいうと ある程度キビキビとAT車で走らせようとするなら左足ブレーキは必須事項だと思う。AT車で クロカンする時も、微妙な速度調整や岩にタイヤを乗せる場合などはアクセル操作だけではこなせな い場合が多かったので左足ブレーキで速度調整をしていた。それでも面白くないので早々にAT車は 手放したが、おかげで左足でブレーキを踏む練習をする良い機会となってくれた。クラッチ操作以外 に活躍する場の無い左足で繊細なブレーキ操作をするのは慣れないと難しい作業だ。慣れてない人が ブレーキを踏むと「ギクシャク」としたブレーキングになってしまったり、踏む力が弱くて止まらない という恐ろしいことにも繋がるので、街中で練習するのだけはやめてもらいたい。話はクロカンに 戻して、左足ブレーキを使う場面で最も自分で多いのはキャンバーに張り付いたままで斜めに登って いく場合などである。アクセルも一定開度で固定する技(スロットルワイヤーを引っ張っておく) もあるが、微妙なアクセルワークを必要とするシーンで、さらにブレーキでトルクフローを起こす タイヤの動きを制御する必要がある場面は思っているよりはきっと多いと思うので、クラッチペダル を踏む心配が無い場面では積極的に使える技だ。

 さて左足ブレーキの実際の運用方法だが、私の場合、クロカンとオンロードではペダルの踏み方が 違うということについ最近気が付いた。オンロードでは普通に足の裏でまっすぐペダルを踏みつけて いるが、クロカンではそれほど踏力を必要とされる使い方をしないというのもあるが、足の裏で ペダルの左端を引っ掛けて横向きにペダルを踏んでいた。つまり、坂を下る場面などではしっかりと ペダルを踏む必要があるので左足はクラッチで、右足でしっかりブレーキペダルを踏んでいるのだが、 右足アクセル・左足ブレーキの状態から左足クラッチ・右足ブレーキの状態に移行する時に、ブレー キペダルを一旦離さないといけないのでは、制動に一瞬でも間が空くので、左足でブレーキを踏むと きにペダルの端を引っ掛けて踏むようにしておけば、右足でそのままペダルを踏むことが出来ると いう訳だ。これならブレーキペダルを離して一瞬車速が速くなってしまう心配はない。

 最後は「ヒール&トゥ」だが某氏に「つま先が先なら『トゥ&ヒール』なんじゃないの?」と 言われたことがあるので、実際に米英でどう使われているか判らないが、ここでは「トゥ&ヒール」 と踏む順番で言わせてもらう。トゥ&ヒールも高速系の自動車競技などでは極めてポピュラーな 操作方法だが、こと「クロカン車」で常用しているという話は少ない。ジープやランクル40などの ペダルの高さの違いの大きいクルマはペダルの位置を変えたりしないといけない車もあるので、 昔からのクロカン車乗りはそれほど積極的に使う機会がなかった(というか使わなくても十分クロカン 出来た)んじゃないかと思う。ペダルの高さの違うクルマでは、ブレーキを踵で踏んでおいてつま先 でアクセルペダルの上の棒を踏む技などもあるらしい。ブレーキを予め強く踏んでおいて発進する 場面で使える技ではあるが、横から見ていたらガニマタなのでやや不恰好なのは仕方の無いことだ (笑)。トゥ&ヒールは私は得意技の一つだ。MT車に乗り始めた当初から使っていたので私として はクロカン以上に長く付き合いのある技なのだが、オンロードをスムーズに、しかもキビキビと走り たいときなどは今でもよく使っている。私の場合で最もよく使うのは、ブレーキで速度を落としつつ ギアチェンジをしないといけない場合だが、普通にブレーキを踏んでギアチェンジをして、クラッチ を繋げる時には普通だとエンジン回転は完全に下がってしまっている。半クラで強引に繋げてしまって もよいのだがブレーキを踏みながらもアクセルペダルを踏んでやってエンジンの回転数とミッション までの回転数を合わせてやると一気に繋いでも衝撃なく繋げる。私の場合だと、踵でアクセルペダル を2回「フォン、フォン」と軽く踏んでやって、エンジン回転がやや下がってきた頃を見計らって クラッチを繋ぐのが癖になってしまっている。ちなみにかみさんのBJでも同じことをするが、 かみさんは意味が全く判らないらしい、さらに私のPZJ70とBJ74Vではギア比がBJの方が 低いので、トゥ&ヒールを使う場合はかみさんのBJの方がアクセルペダルをやや強く踏んで回転を 上げてやらないとクラッチを繋げたときにつんのめってしまう。これも体が勝手に覚えてしまって いるので説明は難しいが、リズムで繋ぐ時期が決まっているみたいだ。

 またしても脱線したのでクロカンに話を戻すが、トゥ&ヒールを使ってエンジンを最大限粘らせ ながら這う場面などでは、ブレーキとアクセルペダルを踏む足が同じなので、特にブレーキの踏力を 一定に保つのが難しい。これはオンロードで使っている場面でも共通なのだが、つま先を動かさずに 踵だけをグルッと1/5周ほど左に回して、踵でアクセルペダルを踏む練習も普段からしていないと とても出来るもんではない。またしても余談だが、以前、福崎で「SMATカップ」が行われていた 頃、出走直前に車から荷物を降ろしていて、右足首の側副靭帯を切ってしまったことがあった。 今までトゥ&ヒールは足首をグイッと左にネジってやってアクセルペダルを踏んでいたのだが、 その件以降、その操作だと足首に負担が大きいので今では股関節から脚を回転させるような使い方に 変えている。

 「ブレーキング」という題だけでもこれだけワラワラといろんな話が出てくる。実はこれだけでは 書ききれないのだが、後はあまりにもたわいない話なので今回はここらへんで締めておく。 この「ブレーキング」の題で書いた文章を書き始めて(チラッと時計を見てみると)約3時間という 処ですね。まだ書き足りないようにも思うので、この先もこの「自分流・・」に駄文が追加される のは間違いないだろう。



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