自分流悪路走破考察


「トライアル偏重」からの離脱

[2003-10-04]

 またまたこんな題の駄文を書くと、さらに悪名の上塗りをしてしまいそうだが(苦笑)、思った ことを言わないと気が済まない性質なのでここは素直に最近思うことを書くことにする。

 クロカンを始めてすぐにトライアルにも参戦するようになったので、随分と私の中では「トライアル で強い者は実際のクロカンでも強い」と思う様になっていた。もう少し言い方を変えたら、 「トライアルで勝つのが腕のある証」って感じでしょうか?今でははっきりと「トライアルで強いから といって、実際のクロカンで高い戦闘力を発揮しているという訳じゃない」と思っている。昔、ある BBSで「クロカンが上達するにつれ、トライアルで勝てなくなった」という書き込みを見た ことがあった。当時は「なんやそれ?」と軽く考えていたものだが、今ではその理由が良く解かる。

 先日、広島のテージャスランチというオフロードコースで4WDフェスティバルが開催されたので 例年通り私も参加させてもらった。今年は変則勤務だったというのもあったが初めて走り系のミニ イベントにはノータッチだった。例年は私の思い付きの(例えば『車両感覚ゲーム』など)イベント やトライアル系のコースを走らせるイベントを企画していた。自分の中で、「トライアル的な走り」 から随分離れていたので久しぶりに4フェスで会う人の走りを観て、ある意味でちょっとショックを 受けた。

 「トライアル」というのを簡単に説明すると「ゴールまで止まらず、バックせず、テープに当たらず 一発で走破出来た人が勝ち」な競技である。極論すれば最大限小回り出来て、バックすることなく 走破出来た者が勝つ競技なのである。私もトライアル中心だったころは当然の様に使っていたのが 「据え切り」を多用するスタイルである。最大限度の回転半径を有効に使うには当たり前な技である し、自分の周りの「トライアル派」なクロカン車乗りは間違いなくこの「据え切り」を多用している。

 自分が乗っているのは1PZ搭載のランクルであるが、これは呆れる程パワステの力が強い。 あまりにクルクルとステアリングを廻せてしまうので知らず知らずにパワステを酷使しているという のもあるし、地形からのインフォメーションが弱いという弱点があるが、溝にタイヤが落ちても ステアリングを切っただけでクルマが持ち上がる程のパワーがある。40系のパワステなどは無理 してコジるとパワステオイルをブチ撒けたりするみたいだが、70系はなかなか優秀であまり トラブルには縁が無い。だからといってグリグリ・ゴリゴリと無節操に廻しつづけるのはいかがな ものか?と思う。操舵系のトラブルは少ないとはいえ無いことは無い。自分のも過去の悪癖が祟って タイロッド・ドラックリンクがぐんにゃりと曲がったままだし、人によっては操舵系のガタに悩ま されている人もいるらしい。最近は重ステな方とご一緒する機会が増えたので微妙にクルマを前後に 揺すりながら少しずつ、少しずつステアリングを切っていく技を自分もするようになった。クロカン というのは自分の家から出て、無事家まで帰るのが最重要課題なはずだ。だが、明らかにこの 「据え切り」というのは車にとってはよくない操作に入ると思う。

 以前、私も水噴射でパワステのギアボックスを冷却されるのを紹介したことがあるが、今はちょっと 考え方が逆だと思う様になった。いくら据え切りは減ったとはいえやはり酷使はすることはすると 思うので少しでも条件を良くするためにいろんな技で冷却させることは悪くはないのだが、最初から グリグリとコジるように使い方を控えるのが先なハズである。前後にクルマを揺すってステアリング を切るという芸当もトライアラーはまずしないだろう。揺する度に「バック1点!バック1点!」と 怒鳴られる訳だから(笑)。

 最近、二駆ターンなどの「小回り技」も否定的に言う機会が多いが、これも斜面で横向きになった 時のリカバリーなどに使えるときもあるが、概ね「使えなくてもクロカンは出来る」技の一種である。 使えて損は無いが、私も一日みっちり走った(這った)としてもせいぜいこの練習は1回するかしない か?という程度である。

 さらに先日「ショックを受けた」という技ではクラッチタッピングがある。その時はモーグルの 中で、クラッチタッピングでわざとクルマを「ガクッ!ガクッ!」と揺らせて、リアタイヤを溝の 底に落としてクルマの頭を出口に向けようとしていたのだが、最近そういう技はなるべく使わない 様にしていたので軽いショックを受けた。当然、そういう技は自分もしていたし、あるのも知っている のだが、それだけ「トライアル的な走り」から離れていたということだろう。「ランクルがこの程度 で壊れる」とは思えないが、クルマに良くないのは目に見えている。

 私は最近「這う」「エンジンを必要以上に粘らせる」ことに拘ってクロカンをしているが、これも トライアル偏重気味な方には縁の無いハナシであろう。以前も書いたが、ある程度スピードを落とさず に走っている方が、こと「走破」という点では有利だろう。「這う」のも「必要以上に粘らせる」 というのも限界まで車速を落とす為なので、トライアル的にいうと「停止」に繋がりやすい。停まって しまって10秒も経つとトライアル的には「減点5」だし、その場から再発進出来ないとバックして 減点させられるので、ことトライアル偏重気味な方は傍から見ていても普段からクルマの移動速度が 速い。たまにローローであえぐ人の後をスッと走って「なんで走れたの?」と聞かれることがあるが タネは簡単なことでローセコダッシュで少しだけ加速して肝心な場所を通過出来るギリギリの速度を 最初から稼いでいるだけということもあったが、「慣性」を利用するというのは有利は反面、「慣性 を利用するだけのクロカンスタイル」から脱却するのは難しいものだとつくづく思う。

 またトライアラーの走りを観察していて思うのが「走るラインは『走破しやすい(曲がりやすい) ライン』だけを狙っている」という点だ。最も効率よく曲がれて、効率よく走れるから悪い事は 無い様に思うかもしれませんが、それからよく聞かれるのは「コースにすぐ飽きる」ということだ。 普段走るコースに飽きない様にする手の1つで、「テープで規制してやる」手がある。これは随分と 楽しめるし、初心者の頃は随分と楽しめたし、今でも楽しく走る手としては有効だと思う。テープの 張り方を工夫すると、普段なんでもない地形もとたんに楽しめれるコースへと変化するが、これも 度が過ぎれば「テープを張って面白いラインを自ら潰している」ことにも繋がりかねない。確かに テープを張っても自分の納得がいくまで何度も何度も走ってみることは可能だし、際どい処にある テープやポールをかわして通過出来たり、他人が出来なかった技を使えたらそれは楽しいだろうが、 自分なら同じ地形ならテープを張らなくてもその何十倍も楽しむことが出来る。先日も某所で遊ん でいたら早々にテープを張られたことがあったが、私からしてみたら自分の走って面白いラインを 全て潰されるのでありがた迷惑であった。確かにテープを張ることで「このポールを上手い事かわして」 とか「ここを一発で曲がって」などと簡単に他人と競うことは出来るようになるのだが、そうでも しないと他人と自分の違いが判らないのかなぁ?と疑問に思うことが多い。楽しむポイントがいっぱい あって、少しのスペースだけテープで規制というなら納得もいくが、走ってみたい処の半分をテープで 「遮断」されたら良い印象は持ちようが無かった。

 たまに「テープを張らないと安心して走れない」という「はぁ?」というハナシも聞くことが ある。つまり先行で誰かが走っているから後で走っても安心だろうということ(らしい)のだが、 なんとも情けないハナシである。ん?でも自分の初心者だった頃はそう思っていたかもしれないなぁ。 まぁこれは良しとしましょう(笑)まだ他にも色々と書きたいことはあるがどうせ平行線を辿る のでこの辺で辞めておく。いろいろと辛口なコメントも書いたがトライアルの良い面も多い。例えば 自走だけの走破性の追及という点ではやはり観るべき物はソフト面・ハード面の両面で非常に多い。 それになんといってもシリアスオフローダーのトライアル人口は依然多いので、たまにしか会えない 人に会おうとするとトライアルの会場に行かなければいけないということも多い。

 だが自分としては「トライアル偏重」な考え方から脱却してみて見えてきたものは非常に多かった と思っている。「トライアルのエントリーフィーを払うくらいならその金で走る」と日頃から公言 している位、金には不自由しているが、未だにトライアル主体のクロカンから離脱出来てなかった としたらもしかしたらクロカンそのものを辞めていたかもしれないと思っている。以前と比べてみる と、まずクルマの性能に頼らなくなってきた。それまでは「走破」させることを第一に考えすぎる あまりに「腕を磨く」方法に偏りがあったと思う。車の性能に頼らないということは少ない懐の負担 で遊べるということにも繋がる。さらに「なんのヘンテツもない地形」でも鍛錬の場にすることが出来るように なった。トライアル的な走りの鍛錬も出来るだろうが、「より走破しにくい走り方」や「わざと傾かせ る走り」や「クルマを労わる走り」など幅は遥かに広い。「クルマを労わる」ということは懐具合を 気にすることも減る。

 今のクロカンのスタイルはクロカンバトルもする、キャンバー戦もする、トライアル的な走りも する、リカバリーツールを積極的に使うクロカンもする、とまことに中途半端である。だが、 中途半端だからこそ出来ることや楽しみ方も多いと思っている。なんの競技にも共通することかも りれないが、「それにのめり込む」ということは「片目を瞑る」ことにも繋がる恐れがるということ も忘れてはいけないと思う。



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