自分流悪路走破考察


反 復 練 習

[2003-10-12]

 概ね、「条件付徘徊」は一般的な人からしたら「なんでそんな面白くもない場所をグルグル這い 廻ってる訳?」と思われるような非常に走破し甲斐の無い場所をグルグル廻ることが多いのですが、 好き好んで「ラク」な地形をグルグル廻ってるんじゃないスね。「ラク」な地形を這う理由の半分 ほどは「厳しい場所を攻め続けるのは車がもたない」ってことがあると思います。

 腕も伴わないのに厳しい場所が好きな人はもれなく「屑鉄」扱いされるという特典が付いて きますしね(汗)。

 確かに「厳しい場所」を攻め続けていたり、競技で勝てれる様に走りを特化させて走り続けていく のも腕を磨くことにはなるとは思うのですが(自分も今まではそういう走りをしてきましたが)、 「腕の磨き方はそれだけじゃない」というアンチテーゼを投げかけたいと思ってます。

 「クロカンの腕を磨く」とか「腕を競う」と簡単に言いますが、腕の磨き方の具体的な、そして 最も効率的な方法が確立されているとはとても思えません。「四駆によるクロスカントリー走行」 というマイナーな遊びだからかもしれませんが、一般的なスポーツなどに共通して存在する「基本的 な訓練方法」というのが、ことクロカンには存在してないと常々思ってました。

 野球では「キャッチボール」や「ノック」など、サッカーでは「リフティング」や「ドリブル練習」、 剣道では「切り返し」や「素振り」などなど・・。普通に考えると「あほらしい」とか「面倒臭い」 という範疇にあるような基本的な反復練習に値するものですが、どの競技(武道)もそれをなおざり にしたのではとても上達はおぼつかないものです。

 例えばですが、野球やサッカーなどでいきなり試合に出続けたり、試合形式の練習ばかりするのが 上達への近道になるでしょうか?絶対違うでしょう。基本的なボールの扱いが出来るようになって 初めて試合などに出て腕を試したり、実戦の中での経験を積んでさらに上のレベルを目指すことに 繋がっていくのだと思いませんか?四駆の場合に当てはめると、実戦形式の試合とか試合に相当する のが「厳しいラインを攻め続ける」ことだったり「競技と同じ走りをし続ける」ことだと思います。 四駆の世界では基本的な反復練習を日常的に繰り返すというのがスッポリ抜け落ちているのです。 どの競技でも言われるのが「優秀な選手ほど基礎訓練を怠らない」ということですが、こと四駆の クロカンでは「場数を踏む」ということだけに重点が置かれ過ぎていたように思う。

 自分が言っている「条件付徘徊」というのはこの「基本的な反復練習」に相当すると思って います。冒頭で「ラクな地形をグルグル廻るのは車を労わる為(厳しい処ばかり攻めると車がもた ない)」と書きましたが、クラッチタッピングや、据え切り、二駆ターン、勢いに任せた走破性に 頼らざるをえない競技な場合はそれで勝つにはどうしても「車の耐久性」だとか「車を維持する コスト」という点では目を瞑らざるを得ないと思います(勝とうとすると、その技を多用する必要 があったり、その競技に特化したクルマにする必要がある)。上手い方はそういう訓練方法だけを 続けていたり、普段の走りがそういう走らせ方だとしても車の損耗を最低限度抑えることが出来る かもしれませんが、一般的な才能はそこそこの凡人は(私もですが)、その境地に到るにはそれ 相当な高い授業料を払う必要があると思うのです。高い授業料を払うのが喜ばしいと思うのは 一部のクルマ業界の方か、すでに高い授業料を納めた一部の上級者だけだと思います。 この不況な世の中で高い授業料を払うのが当たり前な趣味というのが今以上に普及するとは 思えないですね。腕を磨くのにそういう手段しかないという世界は衰退するのが必至でしょう。

 私は一般的な競技や武道に共通して存在する「基本的な反復練習の方法」を具体的に確立させたい と思ってます。その一環として「条件付徘徊」などというのも産み出していると思うのですが、 まだまだ確立には程遠いという処だと思います。「条件付徘徊」の処でも書いたので重複するかも しれませんが、コストを極力掛けずに腕を磨く方法を確立させていくというのは非常に重要だと 思います。「コストを掛けない」ということは「それだけ多く反復練習する機会が生まれる」という ことだからです。また「なんのヘンテツもない場所も練習場所に出来る」ということはこれまた 「反復練習の機会を増やすことが出来る」ということに繋がります。

 JEEP藤本さんがうちのBBSで次の様な書き込みをしてくれてます。

「今日、TVで『運動神経の正体は記憶力!』という題の番組を見てました。雑技団の方がバクテンを 繰り返すのを、特殊な撮影方法で分析してましたが、「何回しても同じ体の動き」をしていることが 分かりました。要するに、運動神経は、一つの動作に対して必要で最良な動きを脳で記憶し、その 状況になれば、記憶が反射的に最良な動きをさせるわけです。」

 つまり反復練習の重要性はこれなんですよね。あらゆる状況で最適な反射動作を引き出すのが 反復練習の目的なわけです。条件付徘徊で主に使う地形は走破する喜びを得るには程遠い地形かも しれませんが、「課題」や「条件」を加えることで、厳しい場所を走る上で必要とされる技や 感覚を得る手助けをしていると思うのです。現に厳しい場所を走破する場合には必ず「ゆっくり 這う瞬間」というのがあると思いますが、普段から何度も何度もそのゆっくりと這うことを反復 練習しておくと、同じクルマを使っているとしても、その瞬間というのは練習してない人と比べて も、遥かに余裕をもってライン取りを考えることに集中出来るとか、さらにゆっくりとした這わせ 方が出来るようになるとか、さらにトラクションやグリップを稼ぐ這わせ方が出来るようになると か、クルマに負担の掛けない這わせ方が出来る様になると思います。また何度も何度も傾く地形を 這っていたりすると、そのうち平地でも這っている様な感覚がする時がありますが、これなども 危険性に麻痺しているという訳でなく、それまで恐怖心を持って走っていた処も精神的な余裕を もって冷静に走れることに繋がることがあります。

 「なんのヘンテツの無い場所」を這わせているのを他の者がしているのを近くで観察していると 這わせている速度が非常に低いというのもあるが、随分とどういう操作をしているか?とかその クルマの性能を使い切っているか?というのが判りやすい。ブレーキだけで最大限、速度を落とし ながらスムーズに斜面を降りる時などは、特に徘徊に付き合ってくれているメンバー間での「腕」 の差は大きく出ていると思う。この練習で多く使っている場所は高低差でいうと1〜2m、傾斜は 多少デコボコがあるとしても30〜35度程度。通常通りにギアを繋いでエンブレを効かせながら ステアリングの向きに気を付けてスイ〜ッと降るだけではなんの愉しさも与えてくれるような地形 ではない。そんな地形の降りもスムーズに最大減速させるブレーキングに慣れてくると、例えば グリップ力を最大限度引出しながら斜めに、なるべく高い高度を維持したまま真横を向く場合など では「ギクシャク」しながら降っていた時と比べて「ジワ〜ッ」とほぼ一定の速度で降ることが 出来た場合では、随分と高度の維持という点で有利なことが分かる。要は「慣性」をどれだけカット 出来るか?なのだと思っているのだが、「ギクシャク」と動いているということは、ブレーキの 拘束力が強すぎて停まる瞬間ではタイヤはそのグリップ力の限界を超えやすいので「ズル、ズル」 とズリ落ちることに繋がる。ブレーキを緩める時も緩めすぎると移動速度が速くなり過ぎて、 次にブレーキを強く踏んだ時に十分に車速が落とせず、結果的に走るラインの高度の差が出てくる ものなのだが、こういうなんでも無い地形でも十分過ぎるくらいブレーキングの繊細な操作の練習は 出来る訳だし、厳しい場所を攻める場合もその繊細な操作を使う機会があったりして、使っている 本人が「ギクッ!」とする時などもある。

 「ブレーキング」を主に書いたが、同じような事は「アクセルワーク(これは一般 的ですね)」とか「ステアリングワーク(なんて言うのかな?微妙なハンドル操作やライン取りの ことです)」、「タイヤのグリップを最大限引き出す走らせ方」、「クルマの負担を極力抑えた 操作の練習」などなど訓練方法はそれほど山の様にある。

 もちろん「四駆によるクロスカントリー走行」というのは100%趣味の域のものなので、 「そんな面倒臭い反復練習などはしたくない」というのは全く自由です。しなければダメだとは 思いませんが、ある意味で「腕を磨く」には遠回りしているという自覚を持たないと、たまにしか 走ってない(鍛錬不足は明らか)にも関わらず、競技に出ましたよとか、クロカンバトルしました とかで、「抜群の技や腕を発揮しました」などというのが非常に滑稽に聞こえることがあるという ことを覚えておいた方がいいでしょう。例え走破出来たとしても「良いクルマが出口まで運んで くれただけじゃん」と思われているかもしれませんね。



自分流悪路走破考察 の索引に戻る

Page054に戻る

Page056を開く
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送