自分流悪路走破考察


大いなる「中途半端」

[2003-10-14]

 あまり「自己弁護」に繋がるようなことは書きたくないが、「まあ、こういうクルマの造り方が ある」とか「クロカンでの遊び方にはこういう手もある」という参考にはなるかな?ということで 今回は思いっきり「自己弁護的」・クロカン論をぶちまけたいと思います。

 自分のクロカンの手法というのは、ほぼどれも「中途半端」というのが当てはまると思います。 腕が中途半端というのは、ここでは置いておいて(笑)、その他な部分をいうと、まず「クルマの 選択」という点で随分と中途半端というのが当てはまると思います。某誌で叩かれた「どう イジクリ廻してもたかが痴れている三河製陸船」も「中途半端を目指す」という点ではなかなか 優秀である。まずそこそこの快適性・高速走行性能・走破性・耐久性・経済性をほぼノーマルの時点 から既に持ち合わせている。

 クロカンでは非常に高い戦闘力を発揮するが、快適性が無いとか荷物・人間の運搬については まったくバイクに毛の生えた程度なクルマとか、目を見張る優秀な構造を誇るクルマもあるが いざクロカンの現場に連れ出すと無理が全く出来ないなんてクルマもある。大人数が乗ることは 出来るが、およそクロカンでは使えない車もあるし、高い戦闘力を発揮するクルマも経済性という 点では落第だったりする場合も多い。

 最初から「中途半端でイイや」とクルマに頼らない使い方をしたい向きにはランクルという名の 半トラックは実に優秀である。「突出してこれが素晴らしい」という点が無いとか、イジくり 廻しても瞬間最大風速的としては大した走破性は得られないと分かっているが、「簡単にはメゲない ベ」という耐久性と経済性に物を言わせて、長い間強めな風速を保つことは容易だ。もっと簡単な 構造で小型・軽量に出来ている車の方がクルマに頼らない使い方という点では有利かもしれないが、 それならそれなりに煮詰めた使い方が出来るかどうかは個人の資質や効果的な訓練が出来ているか どうかにもよる。

 自分のは純正の電動デフロックが前後に備わっているが、これも「中途半端を目指す」点では 優秀な構造である。腕を磨きたいとか、使う必要が全く無い場合などはOFFにしておけば、 全くのオープンデフであるし、デフロックを掛けないと攻めれない場所を敢えて攻めたい場合とか、 「駆動系を労わりたいなぁ」という場合や、「どうしても自走でここを超えないと帰れない!」と 焦っている場合とか、デフロックがないと出来ない技を使う場合などが中途半端を目指す場合には 欠かせないので、前後デフロックは中途半端を目指すものには不可欠な装備といえる。

 前後リーフ車というのも中途半端を目指すのに有利であるのは間違いない。まずリンク類が少なく なるというのと、数少ないリンクも頑丈なリーフスプリングに守られる形になっている。優秀な コイル車も低い位置にタイロッドなどが這う車も多い。「クルマはそこそこな走破性でエエから、 腕を磨いて走破性を引き出したい」という中途半端者にはこの頑丈な構造はありがたい。腕が無い 時分から走り込みを繰り返しても懐を直撃することが減るということは腕をこれから磨こうとする 者にはありがたい構造であるといえる。最初から備わっている走破性にあぐらをかいて「この程度 しか出来ない」とか「こんなにも走る」などと言ってるようでは、結局どのクルマに乗っても同じ ことを言うことになるんじゃないでしょうか?

 足回りの設定も私のは随分といい加減というか、中途半端に出来ている。キャンバーでの腰の 強さとトラクションの確保というのを高いレベルで確保出来ないので、キャンバーでの粘りへは 車高を上げすぎないことで対応、トラクションの確保という点では、サスペンションを可能な 限り柔らかくする(ジャダーで壊れない程度に)ということで一応対応している。サスを柔らかく すると車高も下がるというオマケもついて丁度良い加減で落ち着いていると私は思っているのだが、 ただ単に今のセッティングで走りこみを繰り返して慣れているというのもあるかもしれないし、 フワフワのサスも這う走りでは不安定になりにくいのでマッチしているというのがあるかもしれない が、高いレベルを目指す者からしてみたら「なんて中途半端なんだ?」と思うかもしれない。

 「走りの嗜好」という点でもランクルは随分と中途半端に出来ている。トライアルに出て楽しもう というのもとりあえず可能である。「リアルクロカン」や「引っ張り系」と称されるクロカンスタイル もとりあえず可能である。ウインチ主体でバリバリと引っ張っていく場合などはその24Vの電装 や(12Vの車も存在しますが)、強度を持ち過ぎるゴツいシャーシもこういう使い方をする時には 随分と助かる場合もある。林道を中心としたツーリング系クロカンもその運搬能力(人間も含む) を利用してそこそこ楽しめれる。「クルマをイジって楽しみたい」という向きにも、40系〜80系 までの様々な部品を流用するとか組み合わせを楽しむなどの裏技を駆使することも可能である。

 「クロカン以外の用途にも転用が可能」な点でもなかなか中途半端に出来ている。これは多少 ロングとショートなどで違いは大きいが、うちの2台のランクルは共に通勤車である。私の ショートは狭いリアシートなので人間を大勢乗せるには不向きだが、3人程度乗せて、後ろにさらに キャンプ用品やクロカンで使用するレスキュー用品(100〜200kg相当)、さらに子供の おもちゃなどを載せてクロカンに出掛けることまで可能である。また快適性もそれ程犠牲にして いないのでうちみたいに子供を乗せてクロカンに行くことなども比較的ラクに行える。

 かみさんのはミドルだが、耐久性・経済性・運搬能力・快適性などが割とバランスがとれている と思う。雪中以外ではクロカンで使うことは無いのだが、そのうちクロカン用にするかもしれない。 主クロカン戦闘機として割り切って使うとするなら、重いFRPトップは取っ払って、長めな ホイルベースに相応しい車高に替えて、今自分が使っている電動ウインチをそのまま載せて、 前後ホーシングを今のデフロックホーシングに替えて・・・などはするかもしれないが、バランス的 にいうとショートを上回るし、腕にもよるがショート勢を突付きまわすことも可能なポテンシャルは 持っている。

 実際に「純粋なクロカン車」を維持するというのは多くの人にとって不可能なことだと思う。 バブリーな頃はいくら維持費や購入費が安いとはいってもそういうクルマを維持することが出来た 人は多かったろうとは思うが、この不景気な世の中(もうすでにこの不景気が数年後からしてみたら まだマシな世の中なのかもしれないが)、純粋クロカン車を維持出来る人がどのくらい居るだろう? これを見ている人はそういう方も大勢おられるかもしれないが、まず自分がおかれた環境というのが 恵まれていると感謝しなければならないだろう。もちろん、今の私の立場というのも感謝しなけれ ばいけないというのは言うまでもない。

 多くの人は私のような「あれもこれも一台で賄う必要がある」クルマである必要に迫られている ハズである。そういう身分の者は敢えて「中途半端を目指す」というのも手ではないか?と思う。 どの道「完璧なクルマ」というのを目指すのは不可能であるからと低い処で満足しておけというの ではない。中途半端ならではの得をする面もあるし、中途半端ならでは磨ける腕もあると思うので ある。

 中途半端ならでは磨ける腕もあるというのは、持ち合わせた驚異的な走破性が無いということを 引き換えに、腕を磨くのに適した経済性の良さとか耐久性などの良さなどを比較的高いレベルで 持ち合わせているということが言えると思う。走破性の有利なクルマに乗っていると見えないことも 走破性の低いクルマに乗っていると見えてくることもある。ランクルの場合でいうと「重さ」という 最大・最強の敵となる部分をどのように克服していくか?を考える機会をくれたと思う。

 その妥協点(?)というか行き着き先で思いついたのが、「大いなる『中途半端』」化である。 「煮ても焼いても食えない」と一部信者からは揶揄される三河製陸船ではあるが、「煮ても焼いても」 などと思うのは随分と浅はかな考えであると思う。実際には自分的には「煮て焼いたらどうにか 食える」と思っている。もちろん、クロカン車とは名ばかりでクロカンには耐えられないとかコスト ばかり追求して見る影もなくなっていく近年の新型車というのはクロカン愛好家としては困ることな のでメーカーその他(アホな一部の流行性な顧客)に対してアピールすることや圧力をかけていくと いうことは重要ではあるが、そればかり目が行って「自分の置かれた状況で最大限度の収穫を得る」 ということに頭がいかないというのでは困ったもんだ。

 ハナシは戻して、私のクルマはその中途半端な積載能力を活かしてレスキュー用品を載せたままで クロカンや通勤に使っている。駆動系その他に余裕の無いクルマには真似の出来ない芸当であると 思う。考え様にもよるが「中途半端」も随分と良い面が多いと思う。「中途半端」というと「多目的」 とも言い換えることが可能かもしれないが、「多目的」と書くとあまりにも格好良すぎなので、 やはりここは「中途半端」が私にはお似合いである。今まで常識的だった「操って楽しい」とか 「構造的に見所があって維持するのに誇りが持てる」とか「その走破性に誇りが持てれる」という クルマを否定する訳ではないが、「中途半端」を否定する事もまた出来ないだろうと思う。

 案外、「中途半端」を極めようとするのも難しいと思うのですが、皆さんはどう思います?



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