自分流悪路走破考察


クロカンバトル

[2003-11-26]

 最近は、車に負担をなるべくかけずに効率良く腕を磨く方法はないものやろか?と思いながら 練習方法を模索する日々なので、走る地形は正直「誰が走っても危険の無い程度」の一部の中・ 上級者から見ると「緩くて面白味もなにも無い、走るに値しない地形」ばかりだと思う。

 「厳しい処ばかり攻めるのが腕が上達する最短距離じゃないだろう?!」というのが自論な訳ですが、 緩い地形ばかりで練習するだけで腕が磨けるという訳ではない。ここでの題は「クロカンバトル」 であるが、自分としては、この「クロカンバトル」こそ腕を磨く最短距離にある遊び方の一つである と思う。「クロカンバトルだけで腕が効率よく磨ける」とは思ってませんが、ある一定のレベルを 超えようとする者にとっては、避けては通れない道だろうと思います。

 自分が最初にシリアスなクロカンバトルに参加したのは某氏が主催するクロカンバトルが自分の ホームグラウンドで行われると聞きつけたので、自分の腕など省みず単独で参加させてもらいました。 結果はみるも無残な惨敗。クルマは一回転するわ、雑誌に取り上げられて悪名を売る第一歩になるわ と散々でした。

 転がった後も、かろうじて自走で帰れる手助けはして頂きましたが、それまでの走行会では当り前 だと思っていた手助けは一切なく放っておかれて皆はバトルの続きをしに行きました。当時は「なん やそれ〜!」と思いましたが、すぐに「あぁ、これがある意味でクロカンをする者の正しい姿なんだ」 と思う様になりました。トラブルがあったからといってすぐ手を貸すのは本人の為になりません。 普通の「仲良しクロカンごっこ」に参加するならともかく、こと「クロカンバトル」に参加するのな ら、自分のことは自分で全てするのが全く当たり前なんですね。あのクロカンバトルが自分にとって は最大の転換点になったのは間違いないと思います。

 さてなぜその「クロカンバトル」というのがそれほど厳しいことを言うのか?なのですが、基本的 にクロカンをするという行為は「他人より一歩でも先まで進んでやる!」という負けず嫌いな根性か ら発生することが多いと思います。一緒に走る者と腕や装備や車種の選択の優位などを競い、より 自分の優位性を主張し合うことで、その時点でのお互いの「知識も含めた腕やトラブル発生時の 応用力の違い」をはっきりさせるのがクロカンバトルなのです。ある意味では競技に参加するより くっきりとお互いの得意分野の違いや、腕の差などが判る場だといえると思います。

 例えば、競いたい相手が目の前で走っているとします。彼が通った場所を全く同じラインで トレースしてやったり、さらに難しいラインを選んだり、より難しい技を使って走破してやったり して、前方の彼を「どうだ!私の方が優れた走りが出来るぞ!」と無言の圧力をかけてみたり、 前方を走る者が後ろから来る者が真似出来ないような走りを目の前で見せつけてやって「どや! 真似できるもんならしてみいや!」と無言の圧力をかけてやったりするのを繰り返します。 たまに前後を入れ替えたり、口撃を加えて虚々実々の駆け引きを楽しんだりします。

 人によってはクロカンバトルの定義というのは違うと思うが、多くの方は「より難しい地形を 走破出来た者の勝ち」だと思っていると思う。実際に、本当に走破性の追及をするのならその考え で間違いないと思うのだが、私の考えは若干それとは異なる。クルマの選択に始まり、最大の走破性 を追求していき、なおかつ腕の面でも互角な相手とギリギリな戦いをするというのは自分達にとって は考えられないほどハイレベルな争いかもしれないが、実際「それ」について行けれる人はクロカン をしている人の1/100もいれば良い方だろう。金を一杯持ってます、職業がクロカンをするには 有利で改造や車の入手に困りませんとか、お友達はハイレベルな人が多いので、何をするにしても 有利な情報が舞い込みやすいとか、暇を持て余しているので他人より走りに行く機会が多いとか、 少々むちゃくちゃをしても誰にも怒られない人だけが有利なのが「従来の」クロカンバトルであ ると思うのだが、私としては敢えて従来方式な価値観にはNOと言ってやりたい。

 恵まれた処に生まれてないと優位に立てないという価値観では定着するのは難しいだろう。まして や「プロ」など存在しない世界である。なにか具体的な最終到達点というのが決まっている世界なら ともかく、人の数だけ目指すものや愉しみ方が違うクロカンという世界で、「クロカンバトル」だけ 固定された価値観しかないというのはオカシイだろう。もっと柔軟性があってもよいハズである。

 私が思うのは「もっと皆が想像力を働かせてみればどうか?」ということである。例えば2台の クルマがいたとして、それぞれ仕事の忙しさやクルマに対する金の掛け方も随分違うとする。従来な 考え方でいうと、仕事は暇が多い方が遥かに有利だし、クルマに対しても金を掛けてやった方が勝ち かもしれない。前にも書いたが、それだけで勝負がほとんど決まってしまう様だとしたら、クロカン バトルというのも大して深い意味があるようには思えない。極論かもしれないが、より手間隙をつぎ 込んでやった者が勝ったり、産まれた環境が有利な者が勝つというのならクロカンバトルなんていう のは存在意義はないと思っている。

 実際問題「プロがない」ということは、皆、それぞれ家族があり、仕事を別に持つ一般的な社会人 な訳である。ですから金を無尽蔵にクルマへつぎ込んだり、仕事をクロカンに有利なものに変えたり、 暇を自由に作ったりというのは多くの人が不可能なハズである。万難を排して、クロカンに有利になる ように職業を変えました、暇や金は全てクロカンにつぎ込みました、クロカンで有名な方と友達に なってもらって有利な情報を廻してもらいましたというのも否定はしませんが、多くの一般人でそう いうのは不可能でしょう。自分も含め多くの方はこの不景気な世の中で翻弄されて、自分の好きな 時間も好きに取れず、身を粉にして家族を養っている人が多いだろうと思う。たまにクロカンで有名 な方でも、詳しい理由は知らないが家族を省みなかった罰を受けたと思われる方もおられたりするし、 クロカンにハマり込むあまりにエエ歳して独身なままな人もいる。ひとそれぞれでいろんな理由が あるのは判るので一概に離婚した人やエエ歳した独身者を責める訳じゃないが、たまにはこれを読ん で「ギクッ」とする人もいることだろう。であるから「想像力を働かせる必要がある」と唱えるわけ である。つまり、自分と他人との環境の差というのを想像する力が無い者はいつまでたっても自分と他人との 腕の差というのを把握することは出来ないと思う。自分の有利な環境を省みず「俺の方が走破性 で勝るぜ〜」などと思っているようでは高崎山の猿と変わりない程度の知能しかないだろう。

 「想像力を働かせる」というのはお互いのクルマの特性を理解し合い、それぞれのクルマはどれ くらいの腕がないとどの程度しか走れないかというのを判断することにつながると思う。キャンバー を攻めて優劣を決める場などではより重心が低かったり惜しげの無いクルマが有利だったりするし、 モーグルやヒルクを攻めるときなどは足回りをゴッソリ改造してあったりデフに制動装置が付いて いたりすると有利だったりするのだが、私の価値観でいうと、そのクルマの限界の最大付近まで無理 なく発揮出来ている人は賞賛に値すると思っている。例え走破できる地形は少なくとも、前走車に ついて行けなくても、自分の置かれた環境内で最大限の効果を発揮している者が私としてはクロカン バトルの勝者だと思う。

 話は変わって、クロカンバトルでの作法について。普段の練習ではウンコタイヤなどを履いていて も構わないのだが、やはりクロカンバトルをする場合などでは相手に対して最大限敬意を払う必要が あると思う。具体的にいうとタイヤは勝負用を持っているならそれに履き替える、エアはキッチリと 落とす、修理用工具や補修部品、レスキュー用品は可能な限り載せる。敢えて載せないというのも 手かもしれないが、何かあった場合に(何か起こす様でもこれまた減点対象なのだが)他人の手を 借りないといけないというのは最大の恥だと思った方がよい。

 走っている最中も相手の走りは必ず見届けるのが作法の一つだと思う。前を走る者は後ろが走る のを見届けて、次のポイントへと移動する。後ろを走る者は前に走る者のラインを必ずしも通らない といけないことは無いが、最大限の努力はする必要はあるだろう。クルマを壊す恐れがある場合など は敢えて進まないというのは正しいとは思うが。前を走る者は後ろから来る者にラインを見られて いるので一見不利と思われるが、自分の得意技を発揮しやすいポイントを選びやすいメリットもある。 前後デフロックの使用なども、問答無用で使いまくるというのもある意味正しい姿だが、もし対戦 相手とデフロックの有無以外での条件(クルマの重さや改造度の具合など)がほぼ変わらない状況 などでは敢えてデフロックは封印しておくというのも作法のうちかもしれない。サスペンションの 構成をデフロックを入れてぶん回す方に合わせて組んでいたり、普段からデフロック無しで走ること に慣れてない人などもいるかもしれないのでそこらへんは個人の判断に任せるが、対戦相手との 違いが少ない状況で無闇に使うのもどうかと思う場合がある。

 まあいくらオープンデフとはいえ、例えばランクル70系対ジープ50系なんていう場合では 単純に考えて車重が3〜500kgも違いがあったりするので70系の方でデフロックの使用を ためらう必要は全くないでしょうけどね(笑)。



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